犬では最も一般的な肛門周囲の腫瘍で、去勢手術をしていない中~高齢の雄犬に多くみられます。
多くは良性ですが、悪性の肛門周囲腺癌とはみためでは区別がつきません。
雌に発生した場合は悪性であることが多いようです。
複数の腫瘍が同時に発生することもあり、また良性であっても、大きく腫れると出血したり、便が出にくくなるなど、生活の質の低下をひきおこします。
ホルモン剤などを使った内科的な治療もありますが、ずっと飲ませることや副作用を考えると手術による切除をおすすめしています。同時に去勢手術をすることがすすめられています。
写真は12歳のコーギーの男の子で、手術前に撮影したものです。
肛門の左斜め下側に出血を伴う腫瘤が認められます。
手術により切除し、病理検査の結果は良性の肛門周囲腺腫でした。
抜糸後の写真です。傷はきれいに治癒し毛が生えてきました。
今回は良性でしたが、まれに悪性の肛門周囲腺癌のこともあり、この場合早期の切除手術で治癒は可能ですが、転移のある場合、予後不良となるため注意が必要です。
先にも述べましたが、見た目では良性か悪性の区別はつきませんので、もし、肛門の周りにしこりを見つけたら、早めに病院にご相談下さい。